山田稔明『新しい青の時代』限定アナログ盤

活動報告

ジャケット色校正

2018-05-26

『新しい青の時代』アナログ盤の作業が連日続いています。数日前にジャケットまわりの入稿作業がありました。『新しい青の時代』はイラストレーター福田利之さんによる絵をデザイナー吉積里枝(hoopline)がレイアウトしたり色調整したり「AD(Art Direction)」して完成へと向かいます。今日の朝いちでジャケット色校正が届きました。「色校正」というのはデータで入稿したものが実際に紙にどんな色で印刷されるかを確認するもので、ここ数年CDを作る過程では省略されがちなひと手間でしたが、初めてのLPということで入念にチェックを重ねます。

5年前『新しい青の時代』CDをリリースしたときは色校正なしで入稿したので、第一刷が想定していたよりも若干暗くなってしまい、1年後に再刷するときに色を再調整した、という裏話があります(皆さんが現在お持ちのCDには2種類の色味があるということです)。ドキドキしながら色校を広げてみたらそこには美しいきれいな青が。CDよりも深い青がそこにはありました。中ジャケの僕とポチのコラージュもばっちり。福田さんの原画よりも大きなサイズで印刷された30センチ四方の絵を見てまた感動をあらたにしています。あとちょっとで完成。楽しみにお待ち下さい。

ジャケット色校正

レコードの針でこんなに変わる

2018-05-25

『新しい青の時代』アナログ盤のカッティングが完了し、テストラッカー盤を持って帰ってきて家の普段のオーディオで聴いたわけです。何日か前の話。最初の「どこへ向かうかを知らないならどの道を行っても同じこと」を聴いて感動したのは言うまでもありませんが、東洋化成のカッティングルームにはそれこそ最高峰のリスニング環境が整っているわけで、そこで聴いた印象とはやはり少し違ったのです。僕はCDを作るときもいつもマスタリング後の音についてナーバスになってしまう傾向がある(ひずんでいるんじゃないか、とか曲間が短すぎたんじゃないか、とか)。なので、今回もカッティング後にざわざわした気分になるのはある程度予想が付いたのですが、生まれて初めてのレコード作りなので神経質な方向に向かっているなあと感じました。そこでご近所の近藤研二さんに連絡して近藤さんのスタジオのターンテーブルでも音を聴かせてもらうことにしました。うちの居間よりも近藤さんのスタジオのほうがハイファイなスピーカーを使用してあるから、やっぱり山田家で聴くのと耳触りが違う!みんな違ってみんな良い。

僕が使っていたレコード針(以下カートリッジと呼びます)はSONUSというメーカーの1970年代のヴィンテージ、かなりクセがある。一方近藤さんのターンテーブルにはSHUREのM44Gという信頼性のある定番カートリッジがついていました。僕が持参した針に取り替えて聴いてもやっぱり全然音が違う。1万円くらいのカジュアルでポータブルなレコードプレイヤーはカートリッジをいろいろ取り替えたりはできないかわりに、味わいあるチープさがあって、これはこれでいいなと思いました。

翌日、僕はオルトフォンというメーカーの近未来的なフォルムのカートリッジを注文、近藤さんも乗ってきて2個セットのものを買ってふたりでシェア。このカートリッジはすごくバランスが良くて、いろんなレコードを次から次に回してみたけれど、音楽を聴くこと自体が楽しくなっていく感覚がありました。勢いに乗った僕はSHUREのM44Gまで手に入れて、今では音楽によってカートリッジを付け替えて楽しんでいるのだから、レコードっていうのは本当に奥深いものです。

カッティングエンジニアの西谷さんの言葉が忘れられません。「わたしたちエンジニアは最高のオーディオで再生したときに最高の音が出るようにカッティングします。それをポータブルのプレイヤーにレベルを合わせていたら音楽の本質が失われてしまうんです。この『新しい青の時代』も一番いい音を閉じ込めたので一番いい音で再生するまでの行程を楽しんでください」。きっと僕はあくなき探求を続けるのだろうな。興味があるならぜひ皆さんも。

レコードの針でこんなに変わる レコードの針でこんなに変わる

音を刻む|カッティング作業完了

2018-05-23

昨日のこと、午前中から出かけて東洋化成の末広工場というところで、『新しい青の時代』アナログ盤の「カッティング」という作業に立ち会う。いよいよこの日がやってきたのだ。5年前にこのアルバムの全曲をミックスしてくれた手塚雅夫さん(その後の『the loved one』も『DOCUMENT』でもお世話になっています)が同行してくれたのでとても心強かったが、手塚さんも長いキャリアにおいてアナログカッティングは30年以上ぶりとのことで、僕同様にワクワクしていらっしゃったのが印象的でした。末広工場はおおよそ音楽とはなんの関係もないような無機質で派手なところが一切ない建物。僕らは緊張しながら足を踏み込んだ。

カッティングを担当してくれたのは西谷さんという10年のキャリアを持つ若々しいエンジニアさんでした。曲間の秒数なども改めて設定しなおした。2018年の気分を重視。僕も手塚さんも音については西谷さんにお任せする。僕は「魔法をかけてください」とすらお願いし、西谷さんは「わかりました」と笑顔。曇りひとつないラッカー盤に『新しい青の時代』の音をサファイアが刻んでいくのを不思議な気持ちで眺めていました。すべての行程が初めてなので僕は工場見学に来た子どものようだったかもしれません。

刻んだ溝を顕微鏡で確認し、いよいよ試聴。最初に聴いたのは「月あかりのナイトスイミング」でしたが、その豊かな音に感動しました。CDとレコード、どっちがいいとかそういうことじゃなくて、改めて音楽とは空気の振動だなと、針が溝を擦る音に耳を澄ましながら思ったのです。あったかい音、というと使い古された言い方に聞こえるかもしれませんが、静かな熱を感じました。そしてA面についても同じ作業。オープニングトラック「どこへ向かうかを知らないならどの道を行っても同じこと」は歌詞が違うバージョンに差し替えたので、改めて聴いてみると感慨深いものがありました。A面も通して試聴。もう何も言うことのない素晴らしいサウンドでした。インスタグラムにも写真や動画を投稿しています。手塚さんもカメラを持ってきた。ふたりとも嬉しくて何度もシャッターを押したのです。

テストラッカー盤は僕が持ってかえっていいことになり、いわゆる普通のヴァイナルよりも重いその円盤をそっと胸に抱きしめる。手塚さんも「5年経ってるのに、今も最高に良いアルバム」と言ってくれました。3時間と少しくらいの作業だったでしょうか、夢のような時間。またここに来てカッティングしたいなと欲が出てきた。帰宅後、自分のオーディオで聴くラッカー盤『新しい青の時代』はまた違う表情を見せます。再生環境によって変わってくるのもレコードの面白いところです。近藤さんに連絡して近藤さんのスタジオでもレコード試聴をさせてもらっていたらあっという間に日付が変わりました。

『新しい青の時代』アナログ盤クラウドファンディングはじわじわと申込が増えて、現在111%と縁起のいい達成率、残り38日となりました。どれだけ興奮を書き連ねても、どれほど通じるかわかりませんが、とにかく生まれて初めて自分が作った音楽がレコードになった、長い長い一日でした。今日はジャケットの入稿日、皆さんにお披露目する日が刻一刻と近づいています。ぜひ楽しみにお待ち下さい。

音を刻む|カッティング作業完了

レコードができるまで

2018-05-21

レコードっていうのはたくさんの作業を重ねて完成する。もちろんCDもそうなのですが、レコードには夢があるなあ、と思う。職人さんたちが制服を着て言葉少なに淡々と音と円盤に向かい合っているイメージがある。Youtubeで見つけたこの「レコードができるまで」という動画、わー14分もある…と思って見始めたんだけど、口をあんぐり開けて見入ってしまいました。これを発明した人ってすごい。エジソンって本当すごい。1877年12月6日にエジソンにより開発されたレコード、それが絶えず140年以上にわたって回り続けているのは人類の音楽への愛と音楽家、エンジニアたちの努力の賜物だと思います。

明日は「カッティング」という作業です。この動画に映っている東洋化成に行っています。もはや工場見学に行く小学生の気分、わくわくします。生まれて初めての体験なのですから。少しの不安とたくさんの期待を胸に。またどんなだったか報告します。7月までもう少し。

歌詞を本来の姿に

2018-05-14

4月から始まった『新しい青の時代』5周年記念アナログ盤発売プロジェクト、目標額にも早々に達成して、今月に入っていろいろな諸作業が始まりました。「カッティング」という大事な作業が来週に決定、初めてその現場に立ち会えることに興奮しています。今回オリジナルCDの11曲入りからボーナストラックだった「あさってくらいの未来」を抜いた10曲入りになることはお伝えしていますが(本来『新しい青の時代』は10曲入りアルバムと想定されて制作されました。ぎりぎりになって「あさってくらいの未来」を収録したことは正解だったと今では思います)、今回のLP化ではCD完成間近のタイミングで修正された一部の歌詞をオリジナルな形に戻すことにしました。

2013年当時、ある楽曲のあるフレーズに関して信頼する関係者から示唆と意見があり、想い悩んだ末に録音済みだった歌詞を書き換えて差し替えたのですが、実は僕はそのフレーズを一度もライブで歌ったことがないのです(つねにオリジナルの歌詞で歌っています)。なので今回のLP化にあわせて、本来あるべき形に戻そうと思いました。ほんの些細な数文字ですが、自分にとっては大きな数文字です。「日向の猫」という曲に関しては、もともとのタイトルは「日向の猫とチャーリーブラウン」だったのを、これも完成直前にシンプルに「日向の猫」としました(これも同じく信頼する関係者からの提言でした)。これについては、その後『ひなたのねこ』という写真絵本集へと繋がっていったりしたこともあり、正しい判断だったなあと思っています。

5年という時間が経って様々な意識的、無意識的な伏線がすっと回収され、物語が美しく収束していく感覚がとても心地よく、とにかくこの5月はいろいろ晴れ晴れとした気持ちになって、なんだかあっという間に過ぎていきます。

もう少しお待ち下さい。僕もわくわくしています。

ライナーノーツにあなたのお名前を

2018-04-29

スタートから間もなく1ヶ月となる『新しい青の時代』アナログ盤クラウドファンディング、すでに目標額を達成していますが、まだまだ皆様からの各種お申込を受け付けています。オーダーキャンセル分等であと若干名分の「ライナーノーツにあなたのお名前を掲載します」というオファーが残っていますが、制作スケジュールの都合でこちらの受付締め切りが明日4月30日までとなりました。最後のチャンス、ぜひ思い出づくりを。

ぜひ夏の訪れとともに、レコードのある暮らしを。お申込みお待ちしております!

おれたちのレコードストアデイ

2018-04-26

4月21日はレコードストアデイでした。衰退一方の音楽業界をアナログ盤で盛り上げようとアメリカ発信で始まったものですが、最近は日本でもとても盛り上がるようになりました。僕もユーザーとしてキャッキャと興奮してしまう一大イベントですが、今年は開店時間をちょっと過ぎたくらいにレコード屋に駆け込み、4枚くらい購入。一番欲しかった THE NATIONALというバンドのライブ盤だけ手に入れられなくて、ここのところ必死でネットの海を光で照らして探しているところです。

友人のシンガーソングライター高橋徹也さんの2015年のアルバム『The Endless Summer』のアナログ盤化が昨日発表になりました。実は昨年からふたりで、どうやったらアナログ盤をリリースできるかという作戦会議と勉強会を重ねてきたので、僕はクラウドファンディングで、タカテツさんはHMV record shopとのコラボレーションで、この7月に実現することがとても嬉しく感慨深い。「おれたちのレコードストアデイは7月にやってくる」と盛り上がっているところです。ふたりで対談したり、レコードについて語ったりしようといろいろ企画しています。楽しみにしていてください。

おれたちのレコードストアデイ

自分もクラウドファンディングに参加してみる

2018-04-20

『新しい青の時代』アナログ盤クラウドファンディングを始めてから、他の人がやっているクラウドファンディングにも俄然興味が湧いてきました。これまで僕は海外のサイトからLP・限定セットのプレオーダーとかそういうのは積極的に購入していたけど、クラウドファンディングに関しては疎かった。いくつもあるクラウドファンディングのプラットホームサイトを眺めてみると、共感するもの、心惹かれないもの、珠玉混合だなあと感じつつも興味深く眺めました。映画『この世界の片隅に』の成功例が最近では有名ですが、あの映画のエンドロールを眺めながら「ああ、自分もこの映画を最初期から支えたかったなあ」と思ったものです。

様々なクラウドファンディング企画をこの数週間眺めて、僕は「伝説のバンド『たま』自叙伝のマンガ化プロジェクト」のパトロンになりました。石川さんのめちゃめちゃ面白い自伝的読み物が漫画になったら、と思ったからです(全然集まってないけど…)。

https://camp-fire.jp/projects/view/70922

自分もクラウドファンディングに参加してみる

『新しい青の時代』推薦コメント by 杉真理

2018-04-15

5年前にポップス界の大先輩である杉真理さんからいただいた『新しい青の時代』への推薦コメントを久しぶりに引っ張りだしてみて、杉さんはこの作品を「針を落とす」ように聴いてくれていたことに気付きました。LPできあがってプレゼントするのが楽しみ。再掲します。




山田君の渾身の新作、昨夜じっくり聴いた。
1970年代、買ってきた洋楽のアルバムに針を落とし(アナログ盤しかない時代)、
見っけ物に出会えたときの高揚感が久々に甦ったみたいだった。
夜の闇の中、世界には僕とこのアルバムだけしか存在してないような、不思議な幸福感だった。

最初にゴメスと仕事をしてから随分経つけど、山田君の「ひねくれ屋」な部分が
増々魅力を放って来たように思う。それとは判らないように。
山田君が歌う「日常」って決して淡々としてなくて、ドラマチックでファンタジーに溢れてる気がする。
もし僕が異星人だったら、歌にしたくなるような事ばかりだ。季節があって公園があって猫がいて・・・。

だから山田君の歌を聴いてると、もっと「日常」に目を凝らさなくっちゃって思う。
自分が旅の途中だったって事を思い出す。アルバム中どの曲もいいけど、
僕は特に『月あかりのナイトスイミング』が好きだ。
転調巧くなったね、素晴らしいよ。

杉真理

レコードのある風景3

2018-04-14

ここで書いている活動報告に「これを機会にレコードプレイヤーを新調しようと思うのですが」というコメントをいただいたのですが、同じように思っている人が他にもいるかもしれないので、今回はターンテーブル/レコードプレイヤーについてのいろいろを書いてみたいと思います。僕が中学生のときに初めて買ってもらったミニコンポはレコードプレイヤーとWカセットがついたやつでした。値段的には安いオーディオだったけど、自分のサウンドシステムを持った喜びは大きかったな。そのプレイヤーで高校生になってもLPを聴いていました。

大学で上京してからはCDコンポを買って、そこにDENONのレコードプレイヤーを繋いでいましたが、コンポとプレイヤーの間にプリアンプを挟まないととにかくレコードっていうのは音が小さい。無理やりボリュームをあげて聴いてた学生時代。GOMES THE HITMANをやるようになってからはもうちょっとマシな環境で聴いていたけど、プレイヤーが壊れてしまった。お金もなくてレコードを処分することになったのは以前書きました。2000年代の後半にVESTAXのHandy Traxというポータブルプレイヤーを買ったのですが、これが昔なつかしコロムビアのポータブルみたいな感じで可愛くて本体にスピーカーもついているので簡単で、それでまたレコードのある暮らしが再開しました。VESTAXは倒産してしまったのでこのHandy Traxは今ではなかなか手に入りません。

ION Audio Archiveのターンテーブルを初めて見たとき、そのオシャレで気軽な感じにとても惹かれました。これまでレコードプレイヤーといえば黒だったりプラスチックだったりだったのが、木目調でリビングに置いても風景に溶け込むし、これも本体にスピーカーがついてる。ステレオセットに組み込めばそれなりの音で鳴るし、このプレイヤーで何枚のレコードを聴いたでしょうか。ION Audioからはスーツケース型のポータブルプレイヤーも発売されてて、これらみんな1万円もしないという値段も魅力。家電量販店や、レコードショップにも売ってますので実物を見て決めることもできるでしょう。

DJで使用されるようなターンテーブルってとても高価なのですが、レコードを好きになればなるほど、もっといい音で音楽を聴きたいという気持ちになってくる。ポータブルは便利だけどやっぱり作りや鳴りがチープなのは認めざるをえないのです。もし皆さんの家の近所にHARD OFFがあったらちょっと立ち寄ってオーディオコーナーに行ってみてください。玉石混交ではありますが、たくさんのターンテーブルの山に出会うでしょう。もしそこで掘り出し物が見つかればラッキーです。僕が今使っていいるVESTAXのPDXというターンテーブルは大阪は某町のHARD OFFで一桁間違ってるのでは?という破格の値段で購入して東京まで持って帰ってきたものです。

皆さんの暮らしやスタイルに合うレコードプレイヤーがきっとあるはずです。探しにいってみてください。

レコードのある風景3