クラウドファンディングについて思うこと
2018-03-31
2007年に所属レコード会社もマネージメントもなくなって、さらにはバンドも活動停止状態になってからの数年間は自分にとって音楽活動の継続方法、生活の仕方を模索する日々でした。文字通り自転車操業での孤独な季節をいくつかくぐり抜けて、2013年以降は毎年なんらかのCD作品を夏にリリースしてきたわけです。曲を用意して録音し、リリース情報を公開して通販でのプレオーダーを募り、CDとジャケットをプレスしてレコ発ライブ、さらにはその作品を持って全国を旅して回るのがひとつのパターンになってきました。1年に1枚CDを作るというのはなかなかタフな作業ですが、とても手応えとやりがいがあります。 いつも自分でものつくりをするときに「いかにしたら経費を抑えられるか」ということを考えるもう一人の自分がいるのだけど、そのもう一人の自分のせいで実行に移せないことがいくつかあります。そのひとつが「アナログレコードを作る」ということでした。しかし今年こそは、『新しい青の時代』がリリースからちょうど5年が経つということ、何度か追加プレスしたCDも在庫が僅少になってきたこともあって、アナログ化を実現しようと思い立ったのが、今年の年頭でした。国内プレスにするのかどうなのか、海外プレスは納期が読めなかったり、二つ折りのダブルジャケットにしたらコストが倍近くになってしまったり、ため息と思考の繰り返し。僕はどうしてもCDの14センチのジャケットをそのまま30センチ四方に大きくした『新しい青の時代』が作りたかった。見開きのコラージュを見て「わあ」と感動したかった。 クラウドファンディングに関しては自分には関係のないことだと感じていた、というのが正直なところなのですが、いつか誰かが「山田がやっていることはある意味クラウドファンディングみたいなことだね」と僕に言ったことがありました。それをハッと思い出した。それをきっかけにむくむくと興味が湧いてきたのです。音楽専門のクラウドファンディングのプラットホームサイトTWIN MUSICを主宰するのはかつて僕がGOMES THE HITMANで最初にデビューしたレコード会社でお世話になった方でした。メッセージを送った翌々日に最初の打ち合わせ。そこでクラウドファンディングそもそもの構造や成り立ち、作りたいものを妥協せずに作った場合の経費を話し合いました。その2日後には早速プレス会社東洋化成とアポを取ってアナログ盤制作に関して直接話を聞いている自分がいました。とても健全で現実的な方法だと思ったので、今回僕のわがままな思いを込めた『新しい青の時代』限定アナログ盤をクラウドファンディングという形で制作することにしました。 ファンの皆さんにもおそらく慣れないことを提供することになると思いますが、どうか新しい試みにお付き合いいただけたら嬉しいです。レコードプレーヤーを持っていない人がたくさんいるでしょうし、配信やサブスクリプション(定額制)の時代になった今、もしかしたらレコードなんて世の中に必要とされないものなのかもしれませんが、僕にとっては『新しい青の時代』アナログ盤というのが今作りたいものなのです。2018年に誕生する<新しい『新しい青の時代』>。どうか皆さんに共犯者みたいな仲間になってもらえたら嬉しいです。