多様なLife Styleで音楽をデザインする、オンラインレコーディングプロジェクト

活動報告

押越雪彦 ベーシスト

2024-11-21

大学で一緒にジャズの勉強をしたり、合宿をしたり、一緒にいろんな所に行ったり、卒業後も一緒にお仕事をしたりと、仲良くして頂いていた押越さん。 思い出も沢山。 島根に引っ越された後も、それこそ、オンラインでレコーディングをさせて頂いたりもしました。 島根での音楽活動や、レーベルの事、育児の事等、ライフスタイルについての記事です。 ----------------------------------------------------------- Q.三瓶地域での音楽活動の魅力と課題 • 三瓶の自然豊かな環境で活動する中で、どのような魅力や課題を感じていますか? A. 三瓶は広い原っぱに牛が放牧してあったり、国立公園ということもあり人間の手があまり入らない森林があったり、温泉も湧いていて、でも車で30分も走れば海もあるという本当に自然豊かな地域です。そんな自然豊かな地域に住むうえで一番の利点は静かという事。今住んでいる場所は騒音もほとんどなく、聴こえてくるのは鳥のさえずりや風・雨の音。そして、何といっても地上に人工の光が少ないため、夜の星空は本当に綺麗に見えます。そんなふうに季節や風景を感じ、五感をくすぐられながら音楽を創ったり奏でたりするのは恵まれた環境だと感じる一方、演奏や録音をする場所が少ない事や、都市部から人を呼んで録音やライブをする場合、交通面や金銭的な面を含めて困難が多いのが課題だと感じます。 Q.プロのベーシストとしてのキャリア • ベースを始めたきっかけや、プロとしてのキャリアを築くまでの道のりについてお話しいただけますか? A. 高校時代にいわゆる邦楽ロックのコピーバンドに誘われたのをきっかけにベースと音楽を始めましたが、たまたま聴いたフュージョンにショックを受け、家ではスラップの練習ばかりしていました。しかし、コピーはできるものの、音符も読めない、自分で考えて好きに弾く事ができない為、高校卒業後上京したタイミングでビッグバンドサークルに入部し楽器のレッスンも受けるようになりました。その後、洗足学園音楽大学に入学し、素晴らしい先生方に音楽を教えて頂きながら、川嶋あいさんのバックバンド等、アーティストさんのレコーディングやライブサポートのお仕事も頂くようになりました。こちらに帰ってきてからは、そんな華やかなステージからは遠のいてしまいましたが、その時得た知識や経験等が今、音楽をする上で役立っています。 Q.三瓶地域の音楽シーン • 地元の音楽シーンや他のミュージシャンとのつながりについて、どのような状況か教えてください。  A. 今住んでいる地域には意外にも都市部でプロとしてのキャリアや、ミュージシャンとつながりを持った方々が住んでおり、依頼を受け一緒に地元のCMソングやイメージソングを創ったりすることもあります。 Q.レーベル業の取り組み • レーベル運営を始められたきっかけと、その中での具体的な活動内容についてお聞かせください。  A. 島根県に帰って来たときは、もう音楽を仕事としてする事もあまりないと思ったのですが、ある時、東京在住時代の仲間からレコーディングの仕事の依頼を受け、DTMとインターネットがあれば遠方でも楽曲制作ができるという事実には驚きました。それからは自分の書き溜めた楽曲達をアレンジし、各パートの音楽仲間に東京等各地でレコーディングしてもらうといった形で楽曲を完成させてきました。せっかくならレーベルも作ろうと思い、今住んでいる地名の三瓶から名前を付けThree(三)Bottle(瓶)Recordsとうレーベルを運営しています。今はそのレーベルで自身の楽曲を発表したり楽曲等の制作をしています。 Q.オンラインレコーディングの経験 • 島根にいながら離れた場所にいる方々とオンラインでレコーディングを行う際、どのような工夫や課題を感じていますか?また、その経験から得たことは何ですか?  A. 遠隔レコーディングだと対面でディレクションできないというのは難しい問題です。素晴らしい音楽仲間に依頼しているのでたいていの場合は思い通りになるのですが、こちらの記譜ミス等でどうしても直して欲しい時は大変申し訳ない気持ちになります。そういう事をなくすために依頼する時はしっかりとしたイメージを伝え、どうしてもその通りに弾いて欲しいフレーズ等は楽譜に書き込む等、対面でのディレクションなしでも極力リテイクなしで制作できる工夫をしています。 Q.育児と音楽活動の両立 • 育児をしながらプロのミュージシャンとして活動する上で、どのような工夫や挑戦をされていますか?  A. 家族も仕事をしているため、音楽活動をする日の家族全員のスケジュールを調べ、問題なさそうであれば、できるだけ前に家族に伝えます。その日の育児はどうするか等相談をし、理解を得ながら活動することが大切だと思います。それでも家族に負担をかけていることには間違いないので感謝の気持ちを忘れない事も大事かなぁと思います。 Q.親としての音楽の役割 • ご自身の子育てにおいて、音楽がどのような役割を果たしていると思いますか?  A. 好きな事をするのは楽しいよという事を身をもって子ども達み見せる事ができるのは良い事なのかもしれません。ただし、子ども達に音楽を強要はしない事にしています。子ども達は自分の好きな事を見つけて楽しんでくれれば良いと思っていますし、その為の協力なら惜しみません。 Q.今後の展望 • 三瓶地域やレーベルでの今後の目標や、挑戦してみたいプロジェクトがあれば教えてください。  A. 今地方では人口の減少、人材不足などが深刻になってきています。音楽をはじめようにもどうすれば良いかわからない人や仲間が見つからない、または増えないといった事も起きています。そういった地域的な欠点を少しでも解消すべく、都市部のミュージシャンと地方のミュージシャンが知り合えて、つながれて、一緒に音楽できるような機会を作れないかと考えています。演奏するほうも得ることが多く、聴衆も普段聴ける事の少ない生演奏を堪能できる。そんなwin-winな環境を作る事が理想です。 Q.若手ミュージシャンや地方で活動する人へのアドバイス • これからプロを目指す若者や、地方で音楽活動を考えている人たちへアドバイスをお願いします。  A. そんな偉そうに言える立場ではありませんが。何より継続する事が必要なのではないでしょうか。どんな小さな事でも辞めないで続けること。楽器に触れない期間があっても良いですし、それをそんなにプレッシャーに感じない。長い人生、色々な事情で音楽と向き合う事が困難な期間も出てきます。それでも焦らず、出来ることをして、自分のペースで音楽とお付き合いをしていけば良いような気がします。 ---------------------------------------------------------------------------------------------------------- 1977年島根県生まれ。 高校時代に初めてエレキベースに触れる。 フュージョンやジャズに傾倒し、東京農業大学短期大学部入学と同時に大学のビッグバンドに加入。アコースティックベースも弾くようになる。 独学に限界を感じJunBassSchoolの鈴木淳氏に、エレキベース、コントラバスを師事。 東農大卒業後、洗足学園音楽大学ジャズコースに入学し、納浩一氏、岡田治朗氏に師事。 洗足学園音楽大学在学中より、同大学講師、布川俊樹氏の教則本のレコーディングや、様々なジャンルのバンド活動、サポートを始める。 大学在学中より“川嶋あい”のレギュラーバンドに参加。約4年間在籍し、全国ツアー、CDレコーディング、TV、ラジオ出演等を経験。 その他にも、アーティストサポートやレコーディングに多数参加した後、故郷の島根県に帰郷。 帰郷後も音源制作の他、地元の小学校への楽曲提供、山陰在住アーティストのレコーディングやゲーム音楽のレコーディング、ジャズベーシストとしてのライブ活動等、音楽活動を続けている。 2015年に島根県発のレーべル“ThreeBottleRecords”を設立。島根県より音楽を発信している。

押越雪彦 ベーシスト