レコーディング・プロセス -1「トラックとミックス、そして定位」
2021-07-02
何事もそうですが、そのプロセスが分からなければ、どのように大変なのか分からないと思うので、できるだけ簡潔にレコーディングのプロセスを連載してみたいと思います。 今回、”Soloist”=独奏者というアルバムタイトルですが、一つの楽器を演奏して完結している曲もあれば、いろいろな太鼓を一人で重ねている曲もあります。いずれにせよ、それぞれ録音した音をトラックと呼びます。そして、いくつかのトラックをバランスよく混ぜ合わせることをミックス、もしくはトラックダウンと言います。 独奏曲は演奏に問題がなければ、これらの作業はそれほどでもありませんが、いくつもの楽器を重ね録りした場合、ミックスという作業が大変重要になります。 例えば、私が写真の太鼓セットを叩く時は手前にいるので、左側に①が聴こえるのが自然ですが、アルバムとして聴く場合、お客さんと同じ側になるので①が右側から聴こえます。アンサンブルとなれば、大太鼓はセンター奥、かつぎ桶太鼓は左側手前、締太鼓は右側手前などの振り分けが必要になります。そうしないと、すべてが一緒くたになってとても聴きづらい音になってしまいます。これを音の定位と言います。 実はライブ空間においてもこれはとても重要なのですが、残念ながら、太鼓演奏の多くは見栄え重視で音の定位までつかめていないことが多いです。そして、今はミックスの真っ最中です。