レコーディング・プロセス -2「ミックスと空間」
2021-07-03
音を重ねていく多重録音(オーバーダビング)はとても楽しいのですが、音を重ねる分だけその空間も収録されるので音が籠ってしまいます。昔は「一発録り」だったので、オーケストラやジャズなどのアルバムは、その場にいるような臨場感を感じることができます。 デジタル化が進んでオーバーダブが当たり前になる中、ノイズが大幅に軽減された精密で無駄のない音作りが進み、空気感なんてノスタルジックな印象にすらなっています。きれいな音に仕上げるためにズレや雑音はできるだけ除去。なんでも除菌という社会現象とかぶりますね。 実は今回のアルバム"Soloist"は一発録りとオーバーダブの両方がありまして、しかも、収録場所も違います。これがなかなか面白いです! 出ている音を録るだけでなく空間を録る。これは映像にも言えることで、デジタルで音も絵も鮮やか指向になるのは良いのですが、私は空間を大事にしたいです。